思いめぐらす日常のひとこま

はてなブログに移行し、和紙を素材に絵づくりなどを考えめぐらしています。

<東日本大震災が発生して10年、「山のもの、海のものが豊かに生きる」 折り鶴の世界>

f:id:ku3re5:20210311065012j:plain

2011年3月11日14 時46分 東日本大震災が発生して10年を迎えましたが、今年の2月13日に震度6強の余震が続くとは、日常の暮らしに潜む自然災害の厳しさを感じます。

宮城県福島県震度6強という強い揺れは、どんなに怖かったかを想像します。幸いに津波は来ませんでしたが福島県には原発があります。地震の影響で福島第1原発1号機と3号機で格納容器内の水位が数十センチ低下し、1日数センチ程度のペースで続いていて、原子炉への注水などをしているなどのニュースを聞き、人間が造った災害の怖さも感じます。

10年が経ち、3県で仮設・復興住宅での「孤独死」が614人。現在、東日本大震災で行方不明者は6県で2525人(3月1日現在、警察庁の発表) 、心が痛みます。宮城県警では今年の2月に遺体の身元が分かり、約9年9ヶ月ぶりに遺族のもとに帰ることができたとのことです。遺族の思いとしては帰ってこないうちは、死を受け止めることはできないでしょう。

原発発電所がある福島県では、196人の方が未だに行方不明になっています。また、36,000人余りが県外で生活をしています。3月9日の「毎日新聞オンライントークLIVE!『東日本大震災から10年 私たちは何を伝えてきたか』」の取材から、福島ではいろいろな分断が寝深く残っているという話もあり、賠償金なども分断につながる悲しい事情です。

 

東日本大震災後から1日も早く元の暮らしに戻ってほしい願いで、一日一羽、一万鶴を折っています。2021年 3月11日までの「折り鶴」をアップしました。(冒頭の画像)

 【 今回のテーマは、 「山のもの、海のものが豊かに生きる」 折り鶴の世界 】

 ★60cm×70cmの舞台に並べました。★1日も早く普通の暮らしができるように、周囲にある身近な素材を利用しています。

(素材)背面、下面は布、観葉植物(2)、筒(4)、ガラス食器(3)★その他は色彩の折り鶴(3~4cm四方の、小さな和紙)

地域に森が茂り、山々に小動物が育み、清涼な海の藻に魚たちが群がる、生き物が住む豊かな自然環境で住民が安心して暮らすことができるよう心から願いたいと思います。

 

<最近読んだ本から>

烏賀陽 弘道著「ヒロシマからフクシマへ ―原発をめぐる不思議な旅―

写真、図や年表を入れ、文字も大きくとても読みやすい本です。著者は元朝日新聞記者。03年にフリーランスになり書籍を中心に執筆活動。福島第一原子力発電所の事故後をきっかけに、10年間、福島に通い記事を書き続けています。

(・・福島第一原発は1971年に営業運転を開始。・・その当時を知る東京電力の副社長であった豊田正敏氏は、「当時の社長から原子力は安全最優先でやってくれよ」と何回も言われたんですがね」 「最初からやっている人は『安全性神話』なんか信用していなかった。顕在化させない努力を十分やらなきゃいけないんだと、そんな感じでやっていた・・安全にはカネがかかると言うと嫌な顔をするようになった。・・安全にカネがかかる。なのに、・・安全にカネをけちるようになった」)(205頁~207頁)

★政府のエネルギー政策は民間に任せ、エネルギーの転換期には後処理も民間に担わせて撤退。そのため地域が衰退し、住民が暮らしの基盤を失う。経済優先で地域に住む人の命、生活まではで保証しない。政府は今後福島を重点に5年間で復興事業を完了との方針です。

⓶木村英昭著「―検証 福島原発事故―官邸の100時間」

福島原子力発電所事故時系列表(2011年3月11日~15日) 1頁から30頁にわたって、数分刻みで刻々と原発事故に翻弄されていく様子が表だけでも分かり、その事態の大きさに身震いします。その表に沿って、第1章~第5章に詳しく書かれています。(著者は朝日新聞社の記者)

★当時を振り返って、元菅(かん)総理に言わせたこと。

「人知、人力の及ばない不可知なところの働きが幸運な方に振れ、・・神のご加護だと言うしかない・・」この言葉が今も印象強く残っています。

 ★最後に、報道写真家 大石芳野さんの言葉を載せたいと思います(北海道新聞3月7日のインタビュー記事から)

「・・原発事故のあった福島に足が向きました。放射能は目に見えない。だからこそ撮ろうと思ったのです」 「人間を撮るんです。困っている人、悲しんでいる人、それでもたくましく生きる人・・。人ごとではない。そう思って撮ります。・・」 「見えないものを何とか伝えられないかというのが、福島に限らず私がずっと追いかけているテーマです」     (長文を読んでいただき、ありがとうございました)

f:id:ku3re5:20210311071127j:plain