思いめぐらす日常のひとこま

はてなブログに移行し、和紙を素材に絵づくりなどを考えめぐらしています。

「ハーブ&ドロシー」の上映会から。

「ハーブ&ドロシー」 ドキュメンタリー上映会の前編、後編を観ました。
少し、長い文になりますが、情報を共有していただければ嬉しいです。
 
 前編:2013年1月3日(札幌) 後編:2013年3月28日(札幌)で、上映会。
 
イメージ 1
 
ご存知と思いますが、簡単に映画の内容を紹介します。
 
★前編:「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人
ニューヨークに住む、ハーブ(夫:郵便局員)と、ドロシー(妻:図書館司書)が主人公。共通の楽しみは、現代アートのコレクションです。①1LDKの自宅に納まる作品。②低所得でも買える作品。と決め、アートに対する鋭い感覚と情熱を傾けて
45年間に、2500点を超える作品を収集してきたのです。
LDKのアパートに住み続けて1作品も売らず、年金生活になっても、ある価値を
信じて集めていました。
 
★後編:「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの」
お金よりもコレクションが大切。公務員だったので、社会にお返ししたい。
と、集めた作品をアメリカ州の50の美術館に、50の作品を公平に寄贈するのが、
人生、最後の仕事です。二人の楽しみから、子供、大人が各美術館で現代アートに触れて楽しむ贈り物になりました。
 
映画の背景に、都市型の美術館と、地方の美術館が抱える課題が浮き彫りになっています(都市型は娯楽性が優勢で、地方は維持費負担から閉館に。国の予算が得られ難い運営の厳しさを感じました)。
 
この映画の完成と日本での映画公開のために、映画製作者の佐々木 芽生監督は、「クラウド・フィアンティング」の方法を選びました。少額で大勢の賛同者を広く呼びかける応援基金の活動です。主人公の生き方にふさわしい映画作りです。製作費は無いが、いい映画を作りたい。後に続く人へのメッセージを示したい。そんな取り組みのようです。
応援資金は全国的に広がり、上映会も始まっています。
 
イメージ 2
 
3月28日:ドロシーさんと佐々木監督を迎えて、札幌でも特別上映会がありました。
(夫のハーブさんは、昨年亡くなっています)
2004年から4年かけて、前編のドキュメンタリー映画。(アメリカで公開し、最優
秀賞ドキュメンタリー受賞)
日本で前編の上映先を探しましたが、引き受ける所がなく、2010年11月より、
自主配給で上映したそうです。日本での一歩は、関係者10名ほどで上映とか。
 
3月28日:札幌での映画館では、ほぼ満員でした。現在は上映の注文が全国的に広がっているとの報告もあります。運営事務方の努力もあると思いますが、力のある作品は多くの人に愛されていくのでしょう。
舞台あいさつを聞いていて、「からし種」の喩えが浮かんできました。からし種は0.5ミリほどの、点のような小さいものです。「一粒のからし種が、その枝に空の鳥が止まるほどの灌木状に成長する」。
一枚の作品から、長い時間をかけて、多くのコレクション収集になり、無償で手放すハーブさんとドロシーさん。そして、費用もままならない状況で、お二人の生き方を追い続けた佐々木監督。ある価値観を抱き、強い信念に基づいた行動が実を結んだように思います。そこに、感動するのかもしれません。
 
ドロシーさんと佐々木監督の舞台あいさつを聞いていて、涙が止まりませんでした。
淡々と話されているのに。映画も涙っぽい所がないのに。
隣りの女性の方も、ハンカチをもって、一言も逃さないように、メモを走らせていました。もちろん、舞台の上でも言葉に詰まることが何度も。管内全体が「静かな感動」に包まれていたように思います。感傷的かな?少し、放置していましたが、変わらない感動が今も残っています。
 
札幌出身の佐々木監督は世界を巡り歩いた後、ニューヨークでニュースディレクターやレポーターの仕事をされていたようですが、お二人との出会いで「人生を180度変えてしまった」と、何度か話されています。ドキュメンタリ-映画を通して「ほんとうの豊かな人生」は、何かを実感されたようです。
ドロシーさんが来札した際に、佐々木監督が卒業した高校を見たいと、ご一緒に出かけたようす。心のつながりを思わせる、印象深いお話でした。
 
イメージ 3
 
 
 
 
最後に、ブログから情報をいただいて、このような素敵な生き方に触れて、本当にありがたいと思っています。