思いめぐらす日常のひとこま

はてなブログに移行し、和紙を素材に絵づくりなどを考えめぐらしています。

★「宮澤賢治」没後80年の企画展を観て

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 (写真は、細野春臣が作曲した「銀河鉄道の夜」テーマ楽曲:CDのデザインです)
 
平成23年3月11日の東日本大震災は、大規模な津波災害と福島の原発被害の傷痕を残しました。このような災難に遭って、宮沢賢治がメモに残した「雨ニモマケズ・・・」の言葉は支えになり、賢治の世界を身近に感じたのではないでしょうか。
 
ご存知のように、賢治は岩手県稗貫群里川口村(現在は花巻市)で生まれていますが、この時期に、三陸地震津波による震災や陸羽地震が発生しています。震災の怖さ、被害で苦しむ人々と共有した出来事が、賢治の世界にも影響を与えたと考えられます。
賢治は死の前日も農民の相談に乗り、昭和8年9月21日、37歳で命を閉じました。
没後80年を迎えて、賢治を偲ぶ企画展は全国的に行われているようですが、小樽、札幌の企画展を観てきましたので簡単に、ご紹介します。
 
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★市立小樽文学館と市立小樽美術館の合同企画展。(3月で終了)
北海道初の鉄道開通は、小樽の手宮~札幌間「幌内鉄道」です。昭和60年に廃止しましたが、今も「旧手宮線の鉄路」は文学館・美術館建物の横に残っています。
幌内全線の開通から、平成24年には130周年ということで合同企画展になったようです。
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文学館では、「賢治の世界」を偲ぶ資料の展示。展示中に「プラネタリウムドームをつくろう」をテーマにしたワークショップがありました。ダンボールを材料に、子供の夢を託した世界のドーム、大きく、愛らしい完成品です。
 
 
 
 
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美術館では、デジタルグラフイックアーティストKAGAYA氏の「銀河鉄道の夜」他、原画の展示。
 
(写真2枚目が、KAGAYA氏のグラフイックス「銀河鉄道の夜」の表紙絵です)
とても美しい世界、上映もありました。撮影もどうぞ・・・と、掲示が。でも幻想の世界は撮れませんね。
展示室にあった夜汽車の座席に座って賢治の世界を、ちょっと味わってきました。
 
先日、14日に文学館へ行ったのですが、この座席に再開しました。窓からは小樽の風景でしょうか、来館の際には、どうぞお乗りください。
 
★札幌駅構内「JRタワー」10周年記念の企画展。(3月で終了)
宮沢賢治」詩と絵の宇宙―雨ニモマケズの心―展。
賢治の直筆の水彩画。「雨ニモマケズ・・」の高村光太郎の詩碑原書や棟方志巧の力強い版画。そして賢治の作品から影響を受けた画家たちの原画展です。
写真は東逸子挿絵、本の表紙から。原画展は緻密な技法で幻想的な美しい画風です。
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★現在開催中。「佐藤国男による宮澤賢治ワールド」展(道立文学館:5月21日まで)
 木版画家、佐藤氏は北海道の檜山町(現在はせたな町)の出身。作品を絵本化した素朴で温かい作品、68点の版画展です。賢治の研究・資料120点も展示されています。
 
●「宮澤賢治」の世界に触れて
 宮澤賢治の詩集「春と修羅」を読んで、少しわかったと感じたのは、菅原千恵子著「宮沢賢治の青春」-ただ一人の友、”保阪嘉内をめぐって”-を読んでからです。
                              (ツイッターから情報を得て)
銀河鉄道の夜」の創作のきっかけは、最愛の妹トシの死とも言われていますが、
この本を読んで、賢治の孤独な世界を覗いたような気がします。
 
「理想像」と「幸福観」は、人によって、それぞれに違う、そして、しあわせを感じるところも違う。しあわせと、心地よいというのも、どこかが違うよう。  ―言葉から、眺めているところから、手紙などの文章から― 自然に滲み出るように表れてくるもの。その違いを、敏感に受け止めた現実から「銀河鉄道の夜」の創作へ、とも思うのです。(いろいろな世界を想像してしまいますが、賢治は何を伝えたかったのでしょう・・。)
 
●サイトに、「折り鶴の世界」をアップしました。