先に、札幌の遅い春をご紹介しましたが、この間に特に印象に残った展覧会を簡単にアップします。
1回目:孤高の作家展 2回目:グループ展 3回目:道外作家展
★「井上まさじ展」
アクリル絵の具を何度も重ねた、美しい色彩の抽象画を描く、札幌在住の画家さんです。透明で、静かな色彩の世界に引き込まれます。
井上さんは美術団体などの展覧会には所属しないで、個展がほとんどです。1986年頃から、毎年、札幌の「ギャラリーミヤシタで、5月頃に新作を発表されています。この後、例年は東京でも個展を開いていますが、今年は制作に集中したいことで中止のようです。
「ギャラリーミヤシタ」
30点程の小作品を1・2階に展示しています。
井上さんの絵は写真では分からない。原画を観ないと作品から空気を感じ取れるような、澄んだ色彩の深みに触れることができないのです。ここ数年観に行っていますが、小作品なのに自然とか、宇宙の広がりに引き込まれていきます。
作風は画面に細いペンで横に線を引いていく、また円心をフリーハンドルで線を広げていく、それをひたすら繰り返す。そして、絵の具の厚みを重ねていくのです。しばらくねかせてから表面をペン先で削り取っていき、機械的な作業のように繰り返す中で思いがけない色彩が表われる、観る者をハッとさせる美しい深みになるのでしょう。じっと観ているほど、井上さんの世界を味わえます。
★「浅井憲一展」-むこうがわの風景-
札幌市の南方面の郊外にアトリエをもつ、鉄の彫刻家、浅井憲一さんは、最初は油彩画を制作されていたようです。
1980年頃から形に興味を持ち、鉄の彫刻家としてグループ展、個展と活動の場を広げ、東京方面でも作品展を開いていました。最近は個展を中心に取り組まれています。
浅井さんの作品展を昨年から4回、続けて観ています。写真の作品展は「むこうがわの風景」。金属の動物が並ぶ中に、ヒトが1点。金属の人間が加わったのは今回が初めてです。
鉄の線を曲げて形を作り、中は空洞です。筋肉が動いているような動物の仕草は生きているようです。
昨年観た作品展は風景を取り入れた、鉄?鏡のような素材の台座に、ウマ、ウシ、シカ、オオカミなどの大きめの動物たちがジャングルで息づくような展示方法の他、長~い首のネコ、ダチョウなど、一部分を強調した作品もありました。
<最後に>