思いめぐらす日常のひとこま

はてなブログに移行し、和紙を素材に絵づくりなどを考えめぐらしています。

<アート巡りから、★「生誕100年 彫刻家佐藤忠良展」を観て>

イメージ 1
 
今日の最高気温、群馬・館林では38℃近く、札幌でもその後、33,1℃に。道内地域3番目の暑さになりました。かなりの猛暑が続いていますが、十分な水分補給で体調管理ですね。東京方面では落雷も。不安定な気圧が心配です。
札幌芸術の森美術館で開催していた佐藤忠個展が5月24日で終了していたのに、遅いアップになりました。
 
佐藤忠良氏は宮城県の出身で、2011年3月30日98歳で亡くなっています。
1990年宮城県美術館内の別館に「佐藤忠良記念館」を設立しました。その所蔵品の作品や資料を中心にした、代表の彫刻、油彩画、絵本原画や挿絵、デッサンなど
270点ほどの作品展です。佐藤忠良氏の作品は、どこかでご覧になっているでしょう。
 
私の貧しい言葉で、どんなに展示内容をならべてもつまらないと思いますので、日頃から親しんでいる彫刻作品を通して、少し感想を書きます。
 
パンフレットに「北海道が育んだ、戦後日本を代表する具象彫刻家のすべてがここに」と載っています。
6歳に父親を亡くして北海道に渡り、母親の実家夕張の地で小学5年生まで暮らし、札幌に出て「札幌第二中学校」に入学しています。多感な時代を北海道で過ごしていますので、作品にも影響があるようです。
札幌はじめ、北海道の地域に設置してある野外彫刻。おおらかで、粋で、生命観にあふれる作品は、いつまでも街角で息づき地域の財産になっています。
 
佐藤忠良氏が参加した共同作品「レリーフ大地」、北海道銀行本店ロビーの壁に設置した40メートル以上の長大なレリーフです。
 
イメージ 2
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 3
 
本店の店舗は吹き抜けになっており、正面からは、柱が邪魔で、全体的な撮影は難しい。
 
それでも、許可をいただいて、喜々として撮った写真です。
 
 
 
 
 
彫刻家の本郷新、山内壮夫、佐藤忠良の共同作品です。
北海道が育んだ彫刻家3人の共通点は、「札幌第二中学校」の同窓生。お互いに刺激を受けて創作の成長を分かち合い、個性的な心に残る作品の足跡となったのでしよう。
私は、「レリーフ大地」の制作づくりをDVDで観て感動しました。
3人の彫刻家の個性的な作品を観て歩くのが楽しみですが、以前にアップした写真を再掲します。
 
イメージ 4
 
 
 
 
 
 
「泉の像」
本郷新作
札幌「大通公園」、大通西3丁目に
設置。
 
 
手、指の動かし方、上空に飛び立つようなバレリーナが舞う美しいポーズです。
 
 
 
 
 
 
イメージ 5
 
 
 
 
 
 
 
 
「春風にうたう」
山内壮夫作
 
軽やかで春風のよう。
この写真は背後から撮っています。
 
見方によっては、面白い形になり、
イメージが膨らみます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 6
「ボタン」
ボタンに集中している少女の息遣いが聞こえるような、自然な作品です。
道立近代美術館の所蔵品)
 
少し、長くなってすみません。
 
佐藤忠良の作品を観ていると、対象者の個性が滲み出るような精神性を感じます。
静かに自己主張をする存在感があって、心地よいのです。
佐藤氏が語る「若き芸術家たちへ」の対談集があります。(佐藤忠良・安野光雄の対談集。中央公論新社発行) 願いは普通という、分かり易く飾らない話し方で熱意が伝わってくる本です。
少し、本から引用し、彫刻家の制作に向かう姿勢に触れたいと思います。
 
★「・・やっているのは、粘土をこねて、恥かいて、汗かいて。やり直す、職人の仕事なんです・・」 (79頁) ★「気品のないもの、隣人への配慮のないものから本物の芸術は生まれてこない・・」「いい彫刻は、どんなに暴れているように見えても、螺旋状に躍動感が立ち上がってきて、しかも全部が枠の中にピチッと入っている。」(82頁) ★「王さんの(王貞治氏)巨像・・泣くまいとしても目が潤んでいるとか、額にピッとこう、しわの寄ったところとか、・・一つの彫刻に時間性が、その人の人生の時間みたいなものがちゃんと入っているかどうかが、その分岐点かもしれません。」
(179頁、183頁)等など。
 
どっしりと重みのあるある対談です。愛情をもって対象を深くみるところに、個性的な人物が浮かび上がってきて、記憶に残る作品になるのでしょう。
 
普段の生活でも、学ぶ視点のように受け止めました。これからも作品のおっかけをしたいと思います。 暑い中、読んでいただきまして有難うございました。
 
イメージ 7