思いめぐらす日常のひとこま

はてなブログに移行し、和紙を素材に絵づくりなどを考えめぐらしています。

<道立近代美術館⇒芸術の森へ(札幌国際芸術祭)>

「札幌国際芸術祭」は7月19日にオープンし、会期も残すところ5日になりました(28日まで)。 最後に道立近代美術館芸術の森で開催中の作品を簡単にご紹介し、芸術祭関係のブログを終わりにしますが、直接に足を運ばれると様々な体験が得られると思います。
 
道立近代美術館(近代~現代の都市化に伴う影の部分)
 
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岡部昌生作「YUBARIMATRIX  1992-2014」は、巨大な機械があった周囲をフロッタージュし、床面にガラスを敷いて作品の上を歩けるように展示していました。三笠市旧奔別炭鉱ホッパーの作品と連動して関心を広げるのもいいでしょう。
 
岡部氏は、各地域で市民とのワークショップを積極的に取り入れて歴史を掘り起こし、国内外で活躍している現代美術作家です。1980年後半ごろから広島原爆の痕跡を作品化し、第52ヴェネチア・ビエンナーレの日本館に出展し、広島文化賞を受賞しています。
【<「札幌国際芸術祭」連携事業、そらち炭鉱の記憶を訪ねて>②】
 
★その他の作品では、ドイツ出身のアンゼルム・キーファー氏の巨大な鉛の戦闘機「メランコリア」。その隣に展示していた、インド出身のスボード・グプタ氏の作品に目が釘づけ。金属でできた食器などを集めて作った、きのこ雲の形をした大きな作品。作品の上部に取り付けた小さな鐘は急速な都市化に伴う大量の消費に警笛を鳴らすようでインパクトがありました。「雪は天から送られた手紙である」という言葉を残した中谷宇吉郎の天然雪・人工雪の写真展では結晶の形がどこか違う、自然の奥深い神秘性に触れるようです。
 
●札幌芸術の森美術館・野外美術館(自然と共存できる環境)
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芸術の森美術館の中庭から3段階に装置した「人工霧」が遠くの芝生まで流れていきます。30分ごとに霧が吹き出すのを3回も観て霧に覆われてきました。夜間の満月と霧の出会いは幻想的だったようです。
その日の天候で変貌する霧の彫刻、圧巻でした。私が行った時は晴れて風もあり、光線と霧が交錯する中に入り込んだ素晴らしい体験でした。中谷芙二子氏は札幌出身で、当時札幌で雪の結晶を研究していた中谷宇吉郎氏の次女さんとのこと。1976年頃から霧の彫刻作品を世界の各地で発表し、オーストラリア文化賞を受賞しています。
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霧の中で撮った写真。点々はカメラ表面にぶつかってきた霧のしぶき。すごい勢いで、私も霧の中。
 
 
 
 
 
 
美術館内には7人の参加作品がコーナーごとに展示されており、木彫、映像、写真、大規模なインスタレーションなど見応えがありました。
 
★「萌ゆる森」
野外美術館は7ヘクタール以上の広範囲な丘面に沿って、国内外の彫刻家64作家74点の彫刻が設置してあります。その場所に、芸術祭の「萌ゆる森」テーマで、道内ゆかり18人の芸術家作品が、元々ある彫刻と調和して点在していました。(出展作品は「佐藤忠良子どもアトリエ」、美術館の前方にある「有島武郎旧邸」、隣接の「関口雄揮記念美術館」館内外にも展示しています)。
 その中で2点をご紹介しましょう。
 
ベルリン在住のスーザン・フィリップス作「カッコウの巣」
 
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樹木に囲まれた「北斗まんだら」の空間に、札幌市の鳥「カッコウ」にちなんで、イングランドの民謡を歌う、サウンドインスタレーションです。子供たちが、まんだらで遊んでいる周辺で、スーザンさんの温かくのんびりした調子の歌声が流れていました。その前で叱られていたキタキツネ。
 
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振り返りながらスゴスゴと消えたのですが・・・、ここが居場所とばかり、ウロウロしているキツネに出会いまいた。川上りえ氏作品の小高い丘から頂上を目指して走っている犬の群れ、その中でキタキツネとカラスが一緒に動き回っている楽しい風景でした。背後の白い作品は、以前からある新宮晋作「雲の牧場」の一部です。
 
 
 
★札幌在住の渋谷俊彦氏の作品。
 
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1999年に芸術の森で完成したイスラエルの彫刻家、ダニ・カラヴァン作「隠された庭への道」。全長300mの「門」から7基の白い彫刻の奥に、小さな泉が湧いている水槽のような場所に澁谷氏の作品が一体化して置かれていました。渋谷氏作「water pallet」は、裏面に蛍光塗料を塗布し自然光や水の動きで色彩が鮮やかに変化するインスタレーションです。水底に美しい色彩が重なり合って揺らいでしました。
次に向かったのは、澁谷氏の「有島武郎旧邸」敷地に展示してある作品です。細い道での途中、何かをもって、ひょっこり現れたエゾリスに出会い、ちょっと待って、写真を・・と言ったらさぁーと草むらに逃げ込んでしまいました。
 
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う? 作家さんは最近、自然の草花を漂泊し「ミニホワイトコレクション」の作品作りをされているので、その植物?ぶつぶつ言いながら写真を撮っていたら、近くの方々もカメラを向けていたのですが、何と、キノコの作品は上の方にありました。笑いの伝達です。
 
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澁谷氏の作品は、絨毯用のタックの裏に色彩を塗布しキノコに見立てています。小樽で観た作品の中に本物のキノコが育っていたので、11月頃までには仲間と勘違いし本物のキノコが生えるかも知れませんね。この周辺を探してくだい。あちらこちらに作品があります。
 
 
 
札幌国際芸術祭は、9月28日で閉幕ですが、「萌ゆる森」は、11月3日迄開催し、無休です。アートと散策を楽しんではいかがでしょう。(但し、悪天候やクマが周辺に出没する際には中止になることもあります)