思いめぐらす日常のひとこま

はてなブログに移行し、和紙を素材に絵づくりなどを考えめぐらしています。

「ちいさな絵ものがたり」  第6話:「そうだ! 家出しょう」

 

 

 

 

 

 

 

お母さんは朝早く起きて、『にわとり』と『めんよう』のお世話で忙しそうです。

 

「ちいちゃん、今日ね、おじさんの畑で麦刈りがあるの。お肉も作るから帰るのが遅くなると思う。牛のお肉をもらうので、夜は『すき焼き』にしょうね。」

 

「お昼に、おにぎりを作って食べてね。冷蔵庫に たまご焼きがあるから。

それと、お菓子も焼いておいたので、おやつに食べて。 犬と猫にも食べ物をあげてね。」  「うん・・。お母さん、ごめんね」 ちい子はお母さんに聞こえないようにつぶやきながら、小さくうなずきました。

 

 

さて、ちい子はタンスを開けてお母さんが編んでくれた白い服と帽子を手に取りました。お気に入りの犬の縫いぐるみ、遊び道具の汽車、そして楽しみにしているターザンの絵本を、大事そうに風呂敷で包み終えました。

 

次は、お昼の準備です。「ケン、ミーコ、おいで。 おにぎりができたよ。ちい子の好きなナットウが、はいっているから。タマゴ焼きも。それから、おやつも。みんな、いっしょ、ケンカしないでね。」 ちい子は弁当箱に、おにぎりを5つ詰めました。 「にゃ~にや~ん、くさい!」と言いながらミーコは顔そむけています。ケンも鼻を近づけて匂いを嗅いでいますが、すぐに耳をふさぎました。いつもと違う ちい子のようすを見て、ケンとミーコはおち着きません。

 

ちい子の旅たちです。ケン(犬)とミーコ(猫)にゆっくり話しかけました。「これから、家出するの。だけど心配しないでね。お母さんが帰ってきて「ちい子は?」と聞いても「知らない」って言って。 大丈夫だよ、だからついてこなくていいから」。 

 

ちい子は風呂敷包みを背負い、外に出て、あぜ道を歩いていきました。

ミーコとケンは縁側で、ちい子が見えなくなるまで じっと見送っています。

 

                                                                                           第7話へつづく